「ファイナンスビジネスであればリスクはつきもの。だからバッドリスクを捨ててグッドリスクを取りに行く」という哲学が確立されているのです。一九八三年に、商業不動産証券化の先鞭をつけたといわれるオリンピア.アンド・ヨーク社の九億七○○○万ドルの資金調達も、マンハッタンの一等地にあるビル三棟を担保にしたノンリコースローンでした。その二年後に同じくマンハッタンのロックフェラーセンターが、証券化によって一三億ドル(当時の為替レートで三○○○億円)の資金調達を行った際も、すべてノンリコースローンでした。それ以降現在に至るまで、アメリカの不動産投資市場の拡大とノンリコースローンの普及は、あたかも同一セットのように歩んできました。いまやノンリコース型でなければ不動産ファイナンスは成り立たないといわれるほどです。貸し手にとっては高収益で手堅く保全されているローンであり、借り手にとっては自己資金に対するリスクのみで高額高品質の不動産投資に参画できる点が、ノンリコースローンの最大のメリットだといえます。したがって、これを借り手のみが有利なローンだと誤解することは危険です。